にきびについて
にきびは、毛穴に角栓が詰まることをきっかけに、アクネ菌などの皮膚常在菌が増殖し、炎症が起こることで発生します。特に思春期はホルモンバランスの変化により皮脂の分泌が活発になり、にきびができやすくなる時期です。 その他、ストレスや睡眠不足、偏った食生活、過労といった要因もにきびの原因となります。また、毛穴周囲の角質が厚くなる「角化異常」によって毛穴が塞がれ、炎症が悪化するケースもあります。 重症化すると、保険診療の範囲では治療が難しくなることもあるため、気になる症状があればお早めにご相談ください。
にきびの種類・症状・対処法
にきびは進行性の皮膚疾患で、進行度合いにより「白にきび」「黒にきび」「赤にきび」「黄にきび」の4つに分類されます。それぞれの段階に応じて原因や炎症の程度が異なるため、適切な治療方法も異なります。 放置したり、誤ったケアを行うと、にきびが悪化して繰り返しやすくなり、痕が残るリスクが高まります。 以下では、各タイプのにきびの特徴と、それぞれに適した治療法について詳しくご紹介します。
白にきび
白にきびは、皮膚に小さく盛り上がったように見える初期段階のにきびです。毛穴の中に皮脂が溜まり、それが白く透けて見えるのが特徴で、炎症はまだ起こっていません。治療が比較的容易な段階ですが、指で触ったり無理に押し出そうとすると、炎症を引き起こし悪化する恐れがあるため注意が必要です。
白にきびの対処法
炎症がない段階では、日常的なスキンケアが基本となります。洗顔は力を入れて擦らず、泡立てた洗顔料で優しく汚れを落としましょう。皮脂や汚れをきちんと取り除くことで、毛穴の詰まりを防ぐことができます。 また、栄養バランスの良い食事や、十分な睡眠、規則正しい生活習慣を意識することも、にきび予防に重要です。
白にきびの治療
過酸化ベンゾイル(ベピオ)やアダパレン(ディフェリン)といった外用薬が使用されます。併せて、角質を柔らかくして毛穴詰まりを改善するピーリング石けんなどのスキンケアアイテムも有効です。
黒にきび
黒にきびは、毛穴に詰まった皮脂が空気に触れて酸化し、黒く変色することで生じます。見た目が目立つため心配される方も多いですが、白にきびと同様、炎症はまだ起きていない状態です。 ただし、誤ったケアには注意が必要です。市販の角栓パックなどで無理に取り除こうとすると、毛穴に強い刺激が加わり、毛穴が開いて細菌が入り込みやすくなり、かえって炎症や悪化の原因になります。肌を守るためには、刺激の少ない正しいスキンケアが重要です。
黒にきびの対処法
基本的には白にきびと同様に、洗顔による毛穴の汚れ除去と生活習慣の見直しが効果的です。洗顔はしっかり泡立てて優しく行い、皮脂や汚れを丁寧に落としましょう。栄養バランスのとれた食事や規則的な生活リズムも、肌の状態を整えるために欠かせません。 黒ずみが気になって無理に押し出したくなることもありますが、過度な刺激は毛穴の開きを招き、乾燥や皮脂の分泌を悪化させる原因となるため、触らずにケアすることが大切です。
黒にきびに有効な治療
治療には、白にきびと同様に過酸化ベンゾイル(ベピオ)やアダパレン(ディフェリン)といった外用薬が使用されます。加えて、毛穴の詰まりを改善するピーリング石けんなども有効です。
赤にきび
赤にきびは、毛穴に詰まった皮脂を栄養源にアクネ菌などの常在菌が増殖し、炎症が起きている状態です。かゆみや痛みを伴うことが多く、悪化すると膿を伴うこともあります。 炎症が進行すると、にきび跡が残るリスクが高くなるため、早めの対処が大切です。気になって患部を触ったり潰したりすると炎症が悪化しやすいため、刺激を与えないよう注意しましょう。 また、メイクによる刺激も悪化の一因となることがあるため、炎症が強い間はなるべく薄く仕上げることをお勧めします。
赤にきびの対処法
炎症を抑えることが最も重要なため、丁寧なスキンケアに加えて、抗炎症作用のある治療薬を使用することが効果的です。 現在使用中のお薬で効果が感じられない場合や悪化しているように感じたときは、自己判断せず、お早めに当院までご相談ください。
赤にきびに有効な治療
当院では、赤にきびの炎症を早期に鎮め、再発を防ぐために、患者様1人ひとりの肌の状態や体質に合わせた治療を行っています。 外用薬に加え、必要に応じて内服薬や漢方薬を取り入れることで、肌質の改善とにきびの再発予防を目指します。
黄にきび
赤にきびがさらに悪化し、毛穴の奥に膿が溜まると、表面が黄色く見える「黄にきび」の状態になります。これはにきびが最も進行した段階で、炎症が皮膚の深部にまで及んでいるため、にきび跡や色素沈着が残るリスクが高くなります。 膿が気になって指で潰してしまうと、細菌がさらに入り込み、皮膚の組織に深いダメージを与える可能性があります。悪化を防ぐためにも、自己処理は避け、速やかに医療機関を受診しましょう。
黄にきびの対処法
黄にきびは既に化膿が進行している状態のため、セルフケアでは改善が難しく、早期の治療が必要です。炎症や化膿を抑えるとともに、肌へのダメージを最小限に抑える対応が求められます。 この段階では、にきびを「単なる肌トラブル」ではなく、「炎症性疾患」と捉え、お早めに当院へご相談ください。
黄にきびに有効な治療
当院では、炎症や膿を抑えるための内服薬を中心に治療を行い、症状の早期改善を図ります。加えて、肌質の改善やにきび跡の予防も視野に入れたケアを組み合わせて提供します。 患者様1人ひとりの症状や肌の状態に応じて、内服薬・外用薬・漢方薬などから最適な治療方法をご提案いたします。
皮膚科で行うにきびの治療
外用薬
皮脂や角栓で詰まった毛穴を改善し、炎症を抑えるためのお薬を処方します。
- ディフェリンゲル®(アダパレン)
- ベピオゲル®(過酸化ベンゾイル)
- エピデュオゲル(過酸化ベンゾイル+アダパレン)
- デュアック配合ゲル®(クリンダマイシン−過酸化ベンゾイル)
赤みや腫れを伴うにきびには抗菌作用のあるお薬を使用
- ゼビアックスローション®(オゼノキサシン)
- アクアチムクリーム®(ナジフロキサシン)
- ダラシンTゲル®(クリンダマイシンリン酸エステル)
内服薬
皮膚の炎症を抑えにきび菌の増殖を防ぐために、抗生物質を用いた内服治療を行うこともあります。
- マクロライド系抗生物質
- ニューキノロン系抗生物質
- テトラサイクリン系抗生物質
にきび治療で大切なポイント
早めの受診が改善への第一歩
にきびは、白にきびや赤にきびなど複数のタイプが同時に現れることもあり、症状や肌質によって適切な治療法が異なります。当院では、各患者様の肌状態やお悩みに合わせた治療をご提案しています。炎症を放置すると、色素沈着やにきび跡として長く残る可能性もあるため、気になる症状があれば早めの受診をお勧めします。
根気強い治療の継続がカギ
にきびは一時的な肌トラブルではなく、慢性的な皮膚炎として繰り返しやすい傾向があります。治療の効果が現れるまでには時間がかかることも多く、焦らず根気よく続けることが大切です。皮膚の状態を少しずつ正常に戻し、再発を防ぐためにも、継続的なケアを心がけましょう。
